つや姫は、現在山形県以外にも宮城県、島根県、大分県で栽培を行なわれています。
つや姫が普及した大きな理由の一つに、2010年の記憶的猛暑が影響しています。この時の全国的な一等米の比率は平均63%と過去最低でした。この時のつや姫の一等比率は、98%でした。ここから、夏場の高温障害につや姫は耐性があることがわかりました。そこで、高温障害が起こりやすい温暖な気候の西日本に注目されたということです。
つや姫は産地によって味の違いがあるのか?
つや姫は産地によって価格が大きく異なります。そこで気になるのが産地ごとの食味の違いです。
コシヒカリは、日本で作付け面積が日本の3割と最も大きいことで知られています。同じ品種にもかかわらず、新潟、茨城、千葉では価格に大きな差があります。歴史の長い品種では、味の違いや流通網の違いが価格に大きな影響を与えます。
また、お米の品質は、土壌、水、天候に大きな影響を受けます。つや姫は、山形県の環境でコシヒカリを抜く品種として開発されました。つまり、山形県の土壌に最適な新種として開発されたのがつや姫であり、他の地域では3つの要素が全く違いますので、適さないこともあり得ないことではありません。
我が家は宮城南部でひとめぼれと5年前からつや姫を作っています。 最初の種籾は山形のつや姫から作り始め、その後は宮城で生育した稲から毎年 種籾にしているので、土壌や気候の違いから 年を重ねるごと味が痩せてきてしまうのが原因です。 (宮城県の農家の方)
参考:Yahoo!知恵袋
種籾が徐々に環境に適応していくため、同じ品種でも同じようには育たなくなります。そのため、山形県産つや姫と天候が全く違う島根県や大分県のつや姫の食味は異なってくるかもしれせん。
つや姫の味はどのような味なのか?
つや姫の味に関しては、テレビ朝日「林先生の今でしょ!講座」の12月10日放送のこの表がとてもわかりやすいです。つや姫は、コシヒカリに比べるとしっかりした食感ですが、もっちりした食感も兼ね備えており、甘味が強いお米です。
同じ山形のお米の雪若丸は、つや姫に比べると、しっかりした食感でもっちりさがなく、程よい甘味のお米であることがわかります。西日本の作付け面積が広いヒノヒカリは、コシヒカリはヒノヒカリの方がさっぱりしており、コシヒカリは甘味が強いこともわかります。
実は私たちが思っている以上に、お米の品種によって食味に違いがあることもわかります。また、作付け品種が地域によって異なることからもわかる通り、それぞれの地域にあった品種があることがわかります。この差が食味の違いに影響を与えることにもなりえます。
産地別のつや姫の評価
令和3年産の各地のつや姫の評価はランキング試験の評価です。産地をブレンドしたコシヒカリに比べて、特に優れているものを特A、優れているものをA、同等なものをA’としています。
産地 | 評価 |
---|---|
山形県 | 特A |
宮城県 | 特A |
島根県 | A |
大分県(北部) | 特A |
大分県(南部) | A |
食味試験は、比較調査であるため、絶対評価ではありません。そのため、Aランクのお米でも十分美味しく感じることができることがあります。
このような評価の差が出たのは、日本は縦長の国ですので、東北、中国、九州では天候も気温も違うからです。その差が、比較した時の評価の差になることは十分にあり得ます。令和3年では上記のような結果になっていますが、東北で冷夏になったり、必要以上な大雨になると、たとえつや姫であっても特Aを逃すこともあり得ます。
まとめ
つや姫の価格の違いについては、「山形県産つや姫の値段が高いのはなぜか?」でも紹介しています。つや姫の産地の違いでの味は、天候、土壌、水の条件で差が出る可能性はあります。産地の違いでの食味に違いが出るのは、コシヒカリでもお馴染みなので、他の品種でも例外はないと思います。
本来のつや姫の食味を味わいたいのであれば、やはり山形県産がおすすめです。