千葉県産ふさこがねは、ディズニーシーの和食レストランにも使われている品種です。
人気レストランであり、私も食べましたが、決してまずい品種ではありません。しかし、「ふさこがね まずい」などのネガティブなキーワードで検索されており、新潟県産新之助と比べても、その検索数は多いです。
ふさこがね まずい | 480 |
新之助 まずい | 80 |
ふさこがねがまずいと検索されてしまう原因について解説します。また、ふさこがねを美味しくいただく方法についても合わせて紹介します。
ふさこがねとは?
ふさこがねは、いわゆる早稲の品種であり、8月中旬に収穫が始まる品種です。また、ふさこがねは、多収量であり、量がとれるお米として、千葉県内のシェアが12%程度あります。また、日本穀物検定協会の評価は、Aです。
品種の特性は以下の通りです。
- 大粒で高温でも未熟粒の発生が少なく品質は良好である。
- コシヒカリ並の食味
- 耐冷性は、ふさおとめ並で極強である。
- いもち抵抗性は、ふさおとめ、コシヒカリより高い。
- 成熟期は、ふさおとめより5日遅い中生品種
- 収量が多い。
- コシヒカリより倒伏に強い。
つまり、コシヒカリよりも量がとれるし、倒伏にも強いため収穫しやすい生産上のメリットが大きい品種と言えます。令和2年の相対取引価格は13,550円で、千葉県産コシヒカリは14,512円です。収量が多いことや知名度ではコシヒカリに劣ることもあり、市場では業務用推奨のお米として流通しています。
「ふさこがね まずい」などのネガティブワードで検索されている理由は?
ふさこがねは、和食レストランでも使われているため、美味しくないお米ではありません。それにも関わらず、「まずい」などネガティブな検索数が多いのは、以下の点があると思われます。
ブランド米ブームであり、相対的に多収米が食味で劣る。
ブランド米は、生産農家や圃場を指定しています。生産方法も農薬・化学肥料に制限があり、タンパク質量を調査するなどして、食味を補償する仕組みがあります。それに対して、収穫量を重視した品種には、細かな制限がありません。
そのため、ブランド米に比べると、甘味や食感がお取りやすいのが、業務用米の特徴であり、ブランド米を食べ慣れていると、さっぱりとした食味が、「甘味が足りない」と思ってしまいがちになると思います。
保存方法に問題がある。
価格が安く、収量が多いということは、業者の方針にもよりますが、冷蔵庫に入っていない可能性があります。お米の保存は、低温保存が基本であるため、農家直送米では、冷蔵庫を用意し、一定の気温を保っています。
しかし、冷蔵庫には容量があることもあり、取引価格がやすいお米は在庫も多いことから冷蔵庫にはいれず、倉庫で室温保存していることもあります。
そのために、買った当初から食味が劣化している可能性もあります。
生産者が違うお米が混在している可能性がある。
Amazonレビューなどで低評価されているものをみると、「開封後は美味しかったが、途中から粒が揃っていない」「スーパーで購入したふさこがねは美味しかったが、通販で購入したふさこがねは美味しくなかった」という評価が目立ちます。
一般的に卸されたお米は、農協などで集荷されます。その過程で、袋詰めせずに、籾殻の状態でカントリーエレベーターと呼ばれる施設で集荷されることがあります。
業務用に生産されたお米は、どうしても収量が重視されますので、基準ギリギリに化学肥料を使い、収穫量を増やしている場合もあります。
そのため、粒の大きさや糖度にばらつきがブランド米以上に起こりやすくなり、「前回は美味しく感じたけれど、今回は、美味しくなかった」などの意見が生まれやすくなります。
他の千葉のお米(ふさおとめ、粒すけ)との比較
ふさこがねとふさおとめ、粒すけを比較した時に以下のような違いがあります。特に食味は、それぞれのお米で大きく分かれるところですので、ねばりがあるお米が良いのか、甘さはどの程度のお米にするのかの基準で選ぶのが良いでしょう。
特徴 | ふさこがね | ふさおとめ | 粒すけ |
---|---|---|---|
粒の大きさ | 大粒 | 粒の揃った中粒 | 大粒 |
食感 | ほど良い硬さ | ふわっとした食感 | 程よい粘りと弾力 |
味わい | あっさりめで甘味もある | ほどよい甘み | 甘味がある |
炊き上がり | ふっくら、艶がある | 白くツヤがある | 大粒で艶がある |
冷めた後 | 硬くなりにくい | 記載なし | 硬くなりにくい |
特徴的な用途 | おにぎり、太巻き寿司 | 牛丼、親子丼、カレーライス | 魚・肉・寿司・どんぶり等 |
その他の特徴 | 色白で艶がある | あっさりとした粘り気 | オールマイティーな食感 |
ふさこがねを美味しくいただく方法
①五穀米を一緒に入れる
丁寧に洗米し、水を通常の1.1倍程度加えます。ここで、白米1合に対し大さじ1杯の五穀米を加え、その重量の2倍の水も追加します。30分から1時間浸水させた後、炊飯器の「白米」モードで炊きます。炊き上がったら10分ほど蒸らし、全体をふんわりとほぐします。これにより、ふさこがねのもっちり感と五穀米の風味が調和した、栄養価の高い美味しいご飯が簡単に炊けます。
②おかずを工夫する
前述の通り、ふさこがね自体は、和食レストランに採用されているため、白飯で食べられています。業務用米は、ブランド米に比べると、甘味や粘り気に自己主張がないため、お米が主役というわけではなく、主菜の脇役になりやすいです。
例えば、焼き魚やとんかつなどと一緒に食べた時は、ご飯がどんどん進むことでしょう。
また、ご飯のお供としては、味の強い海苔と一緒に食べたり、丼ものとして調理をすると美味しくいただけると思われます。
ふさこがねはお弁当に向いている?
ふさこがねは、業務用にも使われており、おにぎりやお弁当で使うことも当然可能です。冷めても硬くなりづらいので、この点も心配はいりません。
ふさこがねの購入方法と他におすすめの品種とは?
基本的に美味しいお米を食べたいのであれば、スーパーではなく、農家から直接仕入れのあるお米屋さんか農家直送米の2択です。しかし、千葉県産ふさこがねは、収量が多いことが生産するメリットの一つなので、あまり直販をするメリットがないことがあります。
ふさこがねは非常にリーズナブルで、ブランド米5キロと同じくらいの価格で、10キロを購入することができます。ふさこがねの食味は、粒が大きくさっぱりとしているため、口に合わなかった時は、他の系統のお米を試すのが良いかもしれません。
山形県産はえぬきは、同じく業務用のお米として流通しており、安く購入することができます。はえぬきの食味は、粒感と粘り気のバランスが良くさっぱりしています。大手コンビニの弁当や寿司チェーンのシャリに使われる品種です。
兵庫県産ヒノヒカリも安価で流通しているお米です。ヒノヒカリの食味は、はえぬきと同様で、硬さは中程度で、粘り気がふさこがねに比べると強めです。西日本では人気のあるお米です。
まとめ
ふさこがねは、「まずい」という評価を下すのは、人によるところが大きいです。ブランド米に比べれば、甘味が足りないと評価されても仕方がないので、ちょっと安くても、量を食べたいと思っている方向けのお米といえます。
また、炊飯をする際は、水の量を加減することや五穀米などを入れて炊飯すると、栄養価や味わいも変わるのでおすすめです。
ふさこがねが当たりのお米なのか気になって検索している人も多いと思いますが、こればかりは、以前食べていたお米が何かによります。人によっては美味しい、(前に食べていたお米に比べて)普通という人もいることでしょう。