カリフォルニア州の裁判所は、コーヒーの販売業者は発がんリスクに関する警告を表示しなければならないという判断を行なった。この訴訟は、アメリカの非営利団体Council for Education and Research on Toxins(CERT)が起こした。
CERTとは?
日本語にすると、有害物質研究協議会になります。調べてみると、2003年に設立されており、分類は、プロの化学者による協会です。
ちなみに、なぜカリフォルニアで起こった裁判なのかと言われれば、この協会の住所がカリフォルニアにあるからです。
住所:401 E OCEAN BLVD STE 800 LONG BEACH , CA 90802
コーヒーに含まれる発がん物質アクリルアミドとは?
水溶性の物質で、主に高熱で熱したでんぷん質などに含まれています。例えば、焦げたトーストやフライドポテトなどにも含まれています。
そして、コーヒーの場合は、焙煎がその高熱で熱する工程に該当します。
そのため、アクリルアミドが含まれることになります。
また、アクリルアミドは、細胞骨格に関わるタンパク質や精子中のプロタミンと呼ばれるタンパク質と特異的に結合します。
このアクリルアミドは、体内で代謝され、グリシドアミドになります。このグリシドアミドが尿と一緒に出て排出されます。
問題は、このグリシドアミドの結合力がアクリルアミドよりもDNAやヘモグロビンなどのタンパク質に対して強いことにあります。
この結合により、DNAが傷つけられて発がんに繋がるとされています。
ちなみに、このアクリルアミドからグリシドアミドに変換される量は、人それぞれで異なっています。これは、酵素の量が人によって異なっているからです。
また、アクリルアミドも口、肺、皮膚から大量吸収すると、中枢神経や抹消神経に障害が引き起こることが確認されています。オランダの疫学研究では、アクリルアミドの摂取量が多いと発がんリスクが高くなることを初めて示しました。この時、アクリルアミドの摂取量が多かった集団が、子宮内膜がんと卵巣がんの発症例が約2倍になったと示されました。
日本の食品安全委員会では、アクリルアミドに対して、ヒトへの健康影響は明確ではないとしつつも、心配しなくてもいいとは言えないと判断しております。
上記で述べているように、アクリルアミドの代謝は、酵素の量次第ですので、少ない量でもたくさんのグリシドアミドが代謝される人もいれば、アクリルアミド自体も毒性があるとされていますので、食べすぎれば毒になるのは必然のことです。
なぜ、裁判が起こったのか?
今回の裁判は、90を超えるコーヒーショップがアクリルアミドが含まれていることに対して、消費者に明確かつ合理的な警告をしてこなかったと主張されています。
コーヒーは、過去の研究によって、健康に良い報告がいくつもなされてきました。
国際がん研究機関も、ヒトと動物に関する1000件を超える研究結果を見直した結果、コーヒーと発がん性物質の関連性を示す十分な証拠が確認できなかったとしています。
コーヒーを飲むことがすい臓がん、乳がん、前立腺がんの発症とは関連が確認できず、コーヒーの摂取で、肝臓と子宮内膜についての発がんリスクは低下するとしています。ただし、上記の疫学研究とは逆の結果になっているため、アクリルアミド以外の物質がそうさせているのか、研究の情報としての信頼性にかけているのかはわかりません。
ただし、問題はここではないと指摘されています。コーヒーに含まれるアクリルアミドの量が安全なレベルと証明できない点です。日本の食品安全委員会もアクリルアミドに対してあやふやな態度をとっていることからわかる通り、わかっていないこともかなりあります。そんな研究結果の物質が含まれているコーヒーが安全とは言えないだろうということです。
Forbes:「コーヒーの発がん性」米国で表示義務化へ、今後の影響は?
日本への影響は?
アメリカの裁判ですので、今後日本に直接的な影響がでることは考えづらいです。また、この裁判に対して、異議申し立てがあればこれからされることになります。
ただし、日本にはスターバックスをはじめとするコーヒーショップがたくさんあります。もし、海外への対処もアメリカを基準とこれらのショップがした場合、日本のコーヒーショップもアメリカの基準に合わせた表示を義務ではない形で強いられる可能性はあります。
昔から発がん性についてはよく言われていたコーヒーでしたが、よくわからない物質も含まれていることは確かですので、飲みすぎには注意したいところです。